2011年9月19日月曜日

WTFオリジナルボトルのその後~あるBARの場合~

大分市内のとあるBARにお邪魔した際、ちょうど目の前のカウンターの上に置かれていた【ウイスキートーク福岡20011】のオリジナルボトルが目に留まった。ボトルの隣には何やら紙のような物が入った瓶が置かれている。よく見るとお札ではないか!

マスターに尋ねてみると

「肥土さんのお話を伺ってウチでも何かできないかと思ってできる範囲でやってみようと思いまして・・・」





ウイスキートーク福岡2011オリジナルボトルを発表した際、肥土さんがベンチャーウイスキーとしての売上のすべてを震災の義捐金として寄付するとおっしゃっていた。実際に振込みを完了したとのご連絡を頂いていた。

「そういうことならその心意気を引き継がないわけにはいかないですね。」

とご自身もオリジナルボトルの売上を義捐金として寄付するおっしゃってくれた1人でもある。
とはいえ、売上を震災の義捐金として寄付するつもりではいたが、どういう方法がいいのか悩んでいたところ、ふと以前訪れたお店での募金の集め方を思い出したんだとか。

「お客様が好きなようにこの瓶の中に入れてくれれば金額はいくらでも良いのではないかという考え方なんです。極端な話、1円だって構わないかと。その方のお気持ちがこもっていればそれで良いと思っています。金額の問題じゃないですよね。こういうのって。」

今日は何杯売ったかをカウントしてそのうちのいくらかを寄付に回して・・・なんて方法も考えなかったこともなかったそうですが、お1人で切り盛りなさっているBARにとってあまり現実的ではないので、お客様に払っても良いと思える金額の範囲で直接瓶に入れていただいているんだとか。
すでにかなりの金額がたまっていた。

「何も入っていない瓶にいきなり好きなだけ入れろといわれても抵抗があるんじゃないかと思って、まずはテイスティングもかねて自分が入れました(笑)。」

個人的にはウイスキートーク福岡でセミナー内でテイスティングした際とボトリングされて手元に来た際の味わいがちょっと違ったという印象を持ったのですが(イベントの時よりもボトリングされて届いてすぐ抜栓した時はドライな印象が強かったもので・・・)、実際にテイスティングされた感想を伺うと、

「そうかもしれませんね。でも、時間が経つごとに開いてきて、そこまでドライな印象はなかったと思います。はなからゆっくり時間をかけてテイスティングするようにしてるんですよ。イチローズモルトに関しては。今はこんなに減って時間も経ってますから、また違った魅力が楽しめるかもしれませんよ!どんどん変化していくというのがイチローズモルトの魅力のひとつでもあり、楽しみ方のひとつではないかと思ってます。」

そういえば、納品したボトルは特に時間によって変化が楽しめるタイプが多かったなあ、なんて並んだボトルたちを見ながら思い返す。
マスターが「捉えどころのなさがイチローズモルトの醍醐味」と表現されていたことを思い出した。
テイスティングしている間でさえコロコロとその表情を変える。ましてや、抜栓してからしばらく時間が経ち、ボトルに半分くらいになり、そして最後の一杯の一滴までどう変化するのかわくわくするという。

「まだ、オリジナルボトルの在庫ってあります?」

在庫があるのならまだまだ続けたいという。

「復旧復興は、何十年かかるかわかりません。これから先が大変な時ですから、長く応援していかなければならないですよね。できる範囲でずっと続けていきたいと思ってます。」

ウイスキートーク福岡2011オリジナルチャリティーボトルの真の本領はこれから発揮されていくのかもしれない。ウイスキーとしての本領もチャリティーとしての本領も・・・
そうあることを願ってやまない。